ANIRON

ひとりごと日記

2021.12.30 久しぶりの遠出

朝から寒さで目が覚めて、あと60ページほどで読み終えるところまで来ていたので、シモーヌ・ヴェイユ重力と恩寵』を読み切った。

f:id:aniron:20211230190519j:plain

f:id:aniron:20211230190531j:plain

ヴェイユの思想はあまりに深く、そして重い。厳密な意味合いでの信仰を掘り下げていくスリリングな筆致に圧倒されながら読んだ。苦しみを見つめることが、とりもなおさず神の恩寵を見出すことに他ならないのだという思想は、病苦に苦しむ私をいくらかなぐさめた。さながらうつに効くという重い毛布のように私を包み、深いところにある不幸をひたと見つめる真摯なまなざしに、友を得たような心持ちになった。
おおよそすべてを理解したとは到底云えないけれど、得られたものはあまりに多い。引き続きヴェイユの著作を読みたい。

 

それから調子を崩してやむなく二度寝して、ぼーっとしていると主人にかねてから誘われていた中央線沿線の街に行かないかと云われて、重い体を引きずりながら向かった。

初めに大戸屋で焼き鯖定食をいただいて、主人とヴェイユの話をした。

f:id:aniron:20211230190545j:plain

昨今の世の中の状況を鑑みるに、ヴェイユの説く巨獣としての国家の横暴さは今なお新しい。

ナチスによる全体主義がヨーロッパを恐怖に陥れていた時代に生きていたヴェイユの思想は切実極まりないものがあり、ヴェイユもまた亡命している。

彼女の生きた時代と、現代と、全く異なる様相を呈しているとは云いがたい。

ヴェイユは国家ではなく、ギリシャ都市国家を理想とした。その思想は私の頭では少々理解が追いつかなかったのだが、主人は民主主義はあまりにも広い地域を包括しようとして行き詰まっているのではないかと云っていた。

現に私たちが住む都市だけで民主主義が完結していれば、これほどの政治に対する無関心も生まなかったのではないかと主人は云う。

私たち夫婦は思想は異なれど、基本的には民主主義は大前提として是とするという立場だが、その民主主義が行き詰まっているという現状には何ら変わりがない。

今の現状が危機的な状況にあるということは、左右いずれの立場であるにせよ、やはり共通認識として変わらない。

そういうことを話しながら昼食をいただいていたので、隣に座る家族が不審に思ったのではないかとちらと考えたけれど、それは我が家では日常茶飯事なので構わない。

 

それから新刊書店へ行って、以下の本を買った。

f:id:aniron:20211230190609j:plain

岡井隆と現代短歌』は私が疑問に感じている短歌の事柄について具体的に言及していそうだと見受けたので購入することにし、『桜前線開架宣言』は松野志保の短歌目当てに買った。

現代詩手帖』1月号は時里二郎朝吹亮二の名があり、買わねばなるまいと思って買うに至った。

最寄り駅の書店には『現代詩手帖』は置いていないし、詩歌の棚がこれほど充実していない。思わずあれこれと買い込んだ挙句、kotobaの「独学の愉しみ」特集が気になって追加で購入した。

帰宅して見せ合っていると、主人が「独学の愉しみ」特集号を見て「それ買ったんだ、ラッキー」と云う。どうやら彼も気になっていた本らしい。

主人は以前読書猿『独学大全』を買っていたから、興味をそそられたのだろう。

さっそくページを開いて読んでいると、だんだん夢中になってしまい、向かいで主人も買ってきた本を読みはじめて、ルピシアティーブレイクと焼きプリンをお供に、ブルーベリー読書会がはじまった。

f:id:aniron:20211230190556j:plain

50ページほど読んだのだが、南方熊楠大英図書館に通い詰めて書写に励んでいたという記述が最も印象に残った。

図書館を愛する人間として、さらに図書館に通わねばならないと思うとともに、図書館という場が独学者にとってのコミュニティスペースとして機能していたというところが興味をそそられた。

現代の日本の図書館では自習が禁止されているが、調べたところによると、図書館の資料を用いた勉強はこの限りではないようだ。

さらに調べたところ、私の通っている図書館では、図書館の資料を利用していればOKということになっているらしい。

そうして夜になり、ふとKDPのページを見ていると、さらに拙作の図書館エッセイ集『図書館という希望』をお読みいただいていることがわかった。

ブログ「広寒宮」で綴ってきた図書館にまつわるエッセイに書き下ろしを加えた、図書館エッセイ集です。

「もうひとつの家」としての図書館との付き合い方や、蔵書にまつわること、一利用者から見たコロナ禍の図書館の記録、幼少期に通った図書館との思い出など、今だから読みたい内容をぎゅっとまとめました。

本書が図書館を愛するすべての人の友となりうることを心から願っています。

 

-収録作品-

図書館という希望

ふたつの棚

図書館という友人

ふたたび図書館へ一

図書館の使い方を模索する

コロナ禍の図書館について

蔵書の整理

ふたたび図書館へ二

先達の目とBANANA FISHにみる図書館の精神

図書館という知の海に漕ぎ出す

図書館で知を拓く

学校の図書室の思い出

非常事態宣言下の図書館

本書に登場した書物

この場をお借りして感謝申し上げます。

kindle unlimited会員様は追加料金なしでお楽しみいただけますので、よろしくお願いいたします。