ANIRON

ひとりごと日記

2022.06.19 ココア共和国に投稿した詩にご感想をいただきました

熱をぶり返したりして、相変わらず体調が整わない。生活のことはあまりこのブログには書かないようにしたいので、詳細は追ってこちらのブログに書いていきたい。

snowrabbit21.hatenablog.jp

ここのところ全く創作もできずにいるし、読んでいるのはもっぱら趣味で読んでいるBL小説だけで、R-18コンテンツが載せられないはてなブログには書けないので、さして書くこともない。

ただ、Twitterを検索していたら、ココア共和国2月号に佳作として掲載していただいた「サンクチュアリ」と、3月号に掲載していただいた「忘却の鳥」に感想をいただいていたことがわかった。

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サンクチュアリ』嘉村詩穂
 サンクチュアリは、鳥獣の保護区、禁猟区の意味らしいです。なので動物がテーマなのですが、それだけでは終わらせません。展開に息を呑みます。面白いです。
 「不可侵の領域に対して迫り来る船は嵐で迎え撃たれ、セイレーンの歌声で船乗りたちは海へと導かれて海月になった。」もう、すごいです。冒頭からすごい世界に読者を連れて行きます。セイレーンは、上半身が人間の女、下半身は鳥の怪物です。「雷鳴がすべてを分ち、鳴り響く轟音が世界を包んで福音となり降り注ぎ、あなたを生贄にしてしまった私は、雨に打たれながら涙して、やがてそれらが音楽となって轟の中へと吸収されていくのを震えながら聴いていた。」この詩に改行はないです。先に進みます。「プリミティブで野蛮な感情が吹きすさび、片恋だったはずの怨念は、今やすべてのものに滅びをもたらそうとしている。あなたのいない部屋もまた海水で満たされるまで、嘆きの歌声は私の喉から溢れつづける。」ここで終わりです。
 プリミティブ、というのは自然のまま、みたいな意味です。片恋だったはずの怨念。ここで、片想いの詩だったことが分かります。片想いを詩にするとき、セイレーンを出現させるのは作者さんくらいではないでしょうか。主人公は、片恋の「あなた」を生贄に捧げてしまいました。その理由は明かされていませんが、そのことによって、すべてのものに滅びをもたらそうとしています。気になるのは最後、「嘆きの歌声は私の喉から溢れつづける。」セイレーンも歌声によって、船乗りたちを海月にしていました。この主人公はセイレーンに近しい生物なのではないでしょうか。そして船乗りである「あなた」は、主人公と関係を持ったためにセイレーンに、海月にされてしまった。片恋をものすごく壮大にした詩です。作者さんは、その凄まじさを伝えるためにここまでしてしまったのでしょう。タイトル『サンクチュアリ』もすごくいい。私にはとても書けない詩です。

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『忘却の鳥』 嘉村詩穂
 ファンタジーと呼んでしまうのはあまりにも軽々しいでしょうか。短い詩ですが、鮮烈なイメージが脳に刻まれて離れません。
 

「忘却の彼方へ飛んでゆく鳥の名は、鳥類図鑑にも載っていない。」「千年の時を経たのち死んでしまう。定かでない記憶はすべてその鳥の糧となり、増幅してゆく情報量をその体に変えて、今では空を覆うほどに巨きな姿となった。忘れ去られた死者の魂を弔うために生まれたのだ、悲しみの化身なのだから、そっと忘れてやるべきだ、姿を認識した時、おまえもまた忘却の対象となるのだと、あなたがコーヒーを淹れながら淡々と話す白い雲に覆われた朝。」

 行数を変えることなく、ひと息に語られる詩です。いやあ、圧巻です。付け加えることも削るべきことも何も無い。やはり最後でしょう。「あなたがコーヒーを淹れながら淡々と話す白い雲に覆われた朝。」句読点を挟ませない、無駄のない美しい文章。目線はあくまで人間です。忘却の鳥はただ語られるのみであり、より想像力を掻き立てます。カズオ・イシグロの『忘れられた巨人』という小説がありますが、ノーベル文学賞受賞者が長編で伝える荘厳さを、記憶というものの曖昧さを、ごく短くあらわしてしまっています。ここでは省いていますが、鳥の姿の描写も見事で、細部まで滞りなく描きながら、如何様にも想像できてしまいます。

ここまで丁寧に読み解いてくださる方がおられるなんて、それだけでもありがたいことだし、この場をお借りしてお礼申し上げたい。

作者の立場からはあまり賢しらに言葉を重ねて解説などしない方がいいのだろうと思うので、ひとまず掲載させていただくだけにとどめておくことにする。

なぜならもはや雑誌に掲載された時点で、作品は作者のものではなく、読者のものだからだ。

如何様に解釈していただいても構わないのだし、ただ感想をいただければそれだけでありがたい。

こうして時々いただきものを頂戴することがあるけれど、このように長文にわたって感想をいただく機会はそうそうないので、貴重なものをいただいたと大変喜ばしく思っている。

このご感想が気になった方は、最近頒布を始めた折本詩集『虚ろな夢の名残り』もぜひ読んでいただけると嬉しいです。

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noteでも同様の内容を収めています。

おまえは海の底から産まれ出て、やがて痛みをなぐさめるためにこの地上に遣わされた使者なのだ。──「この痛苦を慰撫するものとして」
ポケットモンスター サン・ムーンに登場する、アシレーヌウツロイドへの憧憬から生まれた散文詩4編を収めた詩集です。

-収録作品-
この痛苦を慰撫するものとして(アシレーヌ
無謬の抱擁(ウツロイド
原初の海へと還るまで(ウツロイド
虚ろな夢の名残り(ウツロイド
ポケモン好きな方はもちろん、水無月となり、海を感じたい方にもおすすめの詩集です。

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