ANIRON

ひとりごと日記

2022.09.04 自筆俳句付き署名本『赤尾兜子全句集』とねむらない樹vol.9落選と

赤尾兜子全句集』と、ねむらない樹vol.9が届いた。

赤尾兜子全句集』は裸本という趣旨のことが書かれていたので若干不安もあったのだけれど、蓋を開けてみると自筆俳句が記された署名本で、その旨は書かれていなかったのでサプライズギフトのようだった。

なかなか出回らない本なので、この機を逃すとあと一年は待たねばならないかもしれないと思って清水買いしたのだった。

ここのところもっぱらお金を注ぐのは本ばかりで、スキンケアにはそこそこお金をかけるけれども、ひと頃のようにデパコスへの憧れも減じてしまっている。

先日主人と(私はノンアルで)飲んだおりに、立花隆の話になり、一つの仕事にまつわる本は本棚一竿分は読むだとか、書店に行ったら気になった本をはじめ、その周辺の本を十冊は買うという話を聞いて、そのような知識人はすっかり少なくなってしまったという話をした。

ちょうど今年の年始に読んでいた『kotoba』が独学特集号で、そこに立花隆の論考が全文引用される形で載っていたのを興味深く読んでいたし、主人の話も惹きつけられるものだったので、主人が買ったという本や、おすすめされた本を買うことにした。

私は読むのもトロいし、読書ができない間はもっぱら亀のようにノロノロと読むことしかできないのだけれど、主人がかつて恩師から云われた「とにかく読むことだね、読むことだね」と繰り返し語ったという言葉の重みを改めて噛み締める。

とにかく鈍足でもトロくてもいいからしっかり読んでいく必要がある。去年や今年の上半期は随分と歌誌・歌集を読んだものだなと思い起こして、今は『角川短歌』9月号と、届いたばかりの『ねむない樹』vol.9を読んでいる。

ねむらない樹に投稿した短歌は落選していた。

入選作を読んでみると、いずれもポップでキャッチーな歌風が目立つ。歌風のミスマッチを起こすとたちまち落選するので、おそらく書肆侃侃房の主催する笹井宏之賞に落選した背景もこのあたりにありそうだ。

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第四回笹井宏之賞落選作品50首を収めた短歌の折本です。

病める夏の日々を詠んだ、ゴシックな療養短歌を収めています。

 

この恋も忘れてしまう錠剤は不老長寿の薬となって

「しにたみのおさしみ」きみに告げたいの「おさしみ」としか云えないままで

ハルシャギク世界の果てをも埋め尽くし燔祭の焰を待つ初夏

ヒュプノスの恩寵のみに包まれて副作用の希死念慮来る

まだまだ量をこなしていかなければならないし、何より自分の歌風とマッチするのはどうやらNHK学園主催の公募らしいということはわかったので、今後の公募にも出していきたい。

短歌読書会を終えて、こうして短歌雑誌を読んで短歌を鑑賞しても、まだまだ自分自身に切実な動機がないなと思う。もっと詠みたいことはあるはずだと思いながらも、その扉を開けることが怖い。

「私」というものが短歌と不可分であるとするのなら、「私」に深く潜っていかねばならないが、今の私にその覚悟は果たしてあるのか。

それを鋭く問われている気がする。ディスプレイを変えれば済むという話ではないのだけれど、どうにも私には病友としてのアスカちゃんがいないとダメなようだ。

もう一度深く潜水するように、自己の奥深くに潜ってみたい。それは自分自身のPTSDと対峙するということにもつながるし、傷つくことを伴うものだし、おそらく幸せを感じながら詩歌を作るということは私の作風では難しいのだろうと思うけれど、そうした苦しいところから生まれる短歌は、きっとどこかで同じく痛みを感じながら生きている人々へと届くかと思う。

私がほとんど非公開で詩歌を作っているのは、村上春樹『職業としての小説家』に書かれていたように、心の深いところでこの読者との糸がつながっていると信じてきたからだし、私自身もまたそうして創作をつづけてきたのではなかったか。

この日記も本来はそうした場として機能させたいという思いがあったのだけれど、ここのところはもっぱら書評ブログと化している。無論アウトプットの質量を高めるという点では有意義ではあるのだけれど、一度原点に立ち戻りたい。

 

ただいま新作の折本詩集をBOOTH、noteにて頒布中です。

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中里介山大菩薩峠』の主人公・机竜之介にフィーチャーしたオマージュ散文詩作品集。
和風ホラーや耽美な作風がお好きな方におすすめしたい作品集です。

もう幾百人の血を吸った懐刀も錆び果てて、我が身も朽ちると思えば侘しさよりも虚ろさが募るばかりで、枯野の向こうに迫る夕日に我が身を焦がしてしまいたかった。──「凍蝶の弔い」

-収録作品-
初秋、修羅は往く。
修羅桜
妖魚譚
凍蝶の弔い

BOOTHではDL形式の折本を、noteではテキストデータのみを配信しております。

お手に取りやすい形でご利用いただければ幸いです。