ANIRON

ひとりごと日記

2022.09.13 ペーパーウェル09原稿完成/松野志保を読む

お知らせ

図書館エッセイ集『図書館という希望』

新たに図書館エッセイ集『図書館という希望』をお読みくださり、ありがとうございます。

ブログ「広寒宮」で綴ってきた図書館にまつわるエッセイに書き下ろしを加えた、図書館エッセイ集です。
「もうひとつの家」としての図書館との付き合い方や、うつ病当事者としての図書館との関わり、一利用者から見たコロナ禍の図書館の記録、幼少期に通った図書館との思い出など、今だから読みたい内容をぎゅっとまとめました。
本書が図書館を愛するすべての人の友となりうることを心から願っています。

-収録作品-
図書館という希望
ふたつの棚
図書館という友人
ふたたび図書館へ一
図書館の使い方を模索する
コロナ禍の図書館について
蔵書の整理
ふたたび図書館へ二
先達の目とBANANA FISHにみる図書館の精神
図書館という知の海に漕ぎ出す
図書館で知を拓く
学校の図書室の思い出
非常事態宣言下の図書館
本書に登場した書物

Kindle Unlimited会員様は追加料金なしでお楽しみいただけます。

おかげさまで刊行以来ロングセラーとなっているエッセイ集です。

ご感想などはぜひTwitterやマシュマロ宛に送ってくださると嬉しいです。

twitter.com

marshmallow-qa.com

 

ペーパーウェル09原稿完成

 ペーパーウェル09に寄稿する原稿が完成しました。

10/29からBOOTHにて無料配信予定です。

star-bellflower.booth.pm

内容としては四篇の連作散文詩を収録しております。

人間を狩る吸血鬼×眠りつづける吸血鬼の全年齢向けブロマンスBL作品となっていますが、性別については明記していないので、男女のBLとして読んでいただいてもいいですし、百合でもお好みでどうぞ。

久しぶりに耽美に振り切った作風になり、書いていて楽しかったです。

同じく耽美志向の作品としては『挽歌-elegy-』『真珠姫の恋』があります。

罪人の冠を頭にいただき、人の子を惑わしたすべての女の恨みを纏って、私は消えてゆく。
嘉村詩穂の個人詩集。 個人サイト「紫水宮」と主宰している文芸サークルかもめのweb文芸誌「かもめソング」に発表した詩に、書き下ろしを加えた散文詩集です。
耽美主義を掲げ、表題作となった「挽歌」を中心に、主に和風・東洋風の幻想的な詩を収録しています。

-収録作品-
マディソン

逝春(せいしゅん)
よみひとしらず
或神話研究者の最期
挽歌
或楽師の書簡
緋鯉抄
調香師の終末
秋菊
夕波千鳥
秘仏
雪女郎
墨色の使徒

耽美主義を掲げ、SF・中華幻想・仏教、そして著者のふるさとへの憧憬をテーマとした、第二散文詩集です。
以下の十編の詩を収めています。

-収録作品-
青磁の爪
白狐譚
鶯姫
エリザベート・バートリの末裔
いにしえのうた
最後の手紙
人体標本
真珠姫の恋
補陀落渡り
地獄の白百合

 

野志保を読む

読めないながらも短歌を読み、短歌を作ったり詩を書いたりしている。

先日は歌誌『月光』をざっと一読し、松野志保の連作「忘却の作法」を読んだのだった。

女には着けぬ玉座のあることはさておきとっておきの祁門(キームン)を

野志保はBL短歌のイメージが強く、幻想的な色合いが濃い、高雅な歌ぶりを特徴とするけれど、こちらはフェミニズム短歌で、“さておき”という言葉を置きながらも、それを“とっておきの祁門(キームン)を”という優雅な暮らしぶりが最高の復讐というニュアンスや主張を感じさせる。ちなみに私もキームンは好きだ。

あまりにも渋いこの世の紅茶には砂糖をいくつ入れたっていい

 

やがて来るわるい報せを思いつつザッハトルテを鈍角に切る

 

わたしたち死ななかったねゆうぐれに焼かれるライ麦畑を見たね

と時勢を反映した歌が並ぶ。全体としてスイーツや紅茶といった甘やかなモティーフを現実に相対させるという表現が目立つ。幻想と現実、幻視と写生を行きつ戻りつしつつも、その世界観は揺らがない。

地獄へは足音高くルブタンの靴底(ソール)の深紅ちらちらと見せ

はそんな女性としての覚悟を感じさせる一首だった。

フェミニズムと短歌についてはこの場で深く言及するのは政治的なニュアンスを多分に含むことになるので書かないけれど、その是非は置いておくとして、もはやこの流れは止まらないのだろうなと思う。

私は松野志保のことは、自分自身の歌のあり方、すなわち口語表現で耽美的な歌を詠むという姿勢の手本となる歌人だと思っているのだけれど、そう思ってはいても、私自身が実際に詠む歌はまだまだ療養短歌の域に留まっている。

それは私にとって切実な問題を反映しているからなのだけれど、その技術についてはもっと高める必要があると感じていて、さらに歌誌や歌集を読んで学んでいきたい。