現在12月20日午前2時半を回ったところだ。
不調にさまざまな不安が重なり、昨夜書いたように、ココア共和国内の賞レースには到底太刀打ちできないだろうこととか、公募から落ちるであろうことなどをさまざまに考えてしまって眠れなくなり、Twitterでココア共和国関連のツイートを検索していたところ、「最終候補に残った」という旨のツイートを見かけた。
万が一そういうことがあれば、と思って昨年のココア共和国の賞レースの結果が載っている『ココア共和国』2022年4月号を電子書籍ですぐに注文した。
落ちていたら落ちていたで、ココア共和国へのお布施にしようと思っていたのだけれど、秋吉久美子賞の選考のところに名前が何度も上がっていて、これまでチェックしていなかったのが惜しいと思われるほどだった。
一日早い誕生日プレゼントになったという思いとともに、2021年〜2022年にかけて、秋吉先生には何度も投稿した詩にいいねをつけていただいたことを思い出す。
2022年の夏以降は、不振に終わっていて、掲載されても無印のことが多かったので、今年の賞レースは覚悟しなければならないが、それでも秋吉先生からいただいたお言葉を引用させていただきたい。
嘉村詩穂のエクスタシィのほとばしりは眩しく、脳を通過していないのではと、思わず疑ってしまう。
嘉村詩穂さんの「ニライカナイ」は〈沈めて、沈めて、この私を血の海に屠り去って〉で始まる。ニライカナイとは、遠い海のかなたにあると信じられていた楽園浄土。あるいは、記紀神話の常世(死者)の国を指すのだろう。現世と来世との往還を通して、からだとこころの汚れを拭い浄めようともがき苦しむ。このイメージは見事だ。
拙作「ニライカナイ」は2021年9月号の電子版に佳作として掲載された作品で、齋藤貢「絶賛」、秋吉久美子「こりゃいいね!」をいただいた。
初めてココア共和国に投稿した詩で、未だにこの壁を越えられずにいると感じていた一作だったので、こうして言及していただけたことはとても光栄に思う。
そして「エクスタシィのほとばしり」「脳を通過していないのではないか」というお言葉は、即興で詩を書き、ほとんど手直ししないままダイレクトに投稿している私にとって、とても映えあるお言葉だと感じる。
昨日投稿した詩はずいぶんと弄ってしまったし、本来そうあるべきなのはわかっているのだけれど、即興で詩を書く気持ちよさは何物にも代え難い。
私が詩を大っぴらに公開していないのもこのためであって、打率がいいというわけではないので、ひたすら即興で作って没作の山を築きながら、これはというものを選んでいる。
もともと大学の恩師にも「憑依型の書き手ですね」と評されていたことがあったので、エクスタシィ、あるいは情念や情動のほとばしるままに書くという行為は、私にとって何よりも喜びをもたらすのだろうと思う。
脳を通過していないというのは、まさにその通りなのかもしれない。詩の呼び声を何日も待ち、パッと単語が降ってきたら勢いで書く。書いてダメならそのまま没にしていく。詩が書けない間は苦しいが、するすると言葉の流れを捉えられると、この上ない快感につながっていく。
そういういかがわしい人間として詩を書いているので、おそらくこうして詩を書くより他にどうしようもないのかもしれない。
頭でプロットを構築して作っていく小説にはどうしても魅力を感じないし、技巧的な短歌を作っていく作業にもあまり興味がない。本当に純粋な言語としての詩を私はやはり求めているのだろうと思う。
純粋言語、肉体言語としての詩については吉増剛造『詩とは何か』に詳しく書かれているので、気になる方は読んでみると面白いかもしれない。
今年はココア共和国の戦果はあまり華々しいものではなかったけれど、それでも唯一「絶賛」をいただけた詩がある。それはウクライナ情勢を読み込んだ詩で、ココア共和国5月号に佳作として掲載された「春嵐」で、時事を扱ったものだから採られたのだろうとも思うけれど、あの時期は私なりにウクライナ情勢についてさまざまなことを考えていたことを思い起こす。
この詩をもってしてどこまで勝負できるかはわからないし、自信もないけれど、それでも詩を書きつづけるという決意を抱くことができた。
小説がどうしてもうまく書けない時期に、ココア共和国に拾っていただいたという恩義を感じていて、その恩を返したいという一心でココア共和国に投稿し続けたこの一年は無駄ではなかったと思いたい。
賞を受賞できなかったとしても、詩歌に向かってひたすらに邁進したことを、まずは自己評価できるようにしたい。
最後に本厄でぼろぼろになりながら、それでもなんとか這いつくばって前に進んできた一年、すがりつくように聴いていたBUMP OF CHICKENの「なないろ」を貼っておく。
気分が落ち込んでしょうがない時にも私を支えてくれた応援ソングだ。
これからの一年、ふたたび前を向いて歩んでいけるように、この曲を胸に進みたい。